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修美は国が認定した選定保存技術保存団体である国宝修理装潢師連盟の加盟工房です。
美術工芸品のうち絵画、書跡・典籍、古文書、歴史資料などの保存修理を行っています。
これらの文化財は紙や絹などの脆弱な素材で構成されているため、
時間の経過によって自然と劣化や損傷が進行していきます。
現在、遺っている文化財の多くは定期的な修理が施されてきました。
これからも文化財を守り伝えていくためには、保存修理が必要となります。
この保存修理では、
国の認定を受けた伝統的方法に基づいた装潢修理技術や科学的な調査、
新しい技術が用いられています。
また、修美においては修理技術だけではなく技術の研究開発、
一人の人として社会貢献のできる人材育成、
全ての社員が働きやすい職場環境を整えて文化財修理を行っています。
主に美術工芸品(掛軸・巻子・屏風・障壁画・文書・冊子・手鑑・絵図・近現代紙資料・写真といった
「絵画」、「書跡・典籍・古文書」、「歴史資料」)を対象とし、
指定文化財をはじめとする貴重な文化財の保存修理に取り組んでいます。
「装潢修理技術」とは紙や絹などの脆弱な素材で構成されている美術工芸品を未来へ継承、保存していくために必要な国の認定を受けた伝統的方法に基づいた修理技術です。
主な道具として、様々な種類の筆や刷毛、包丁、印刀などの刃物、ピンセットを使用しています。
近年では、より安全な保存修理を行うために新しい技術の研究開発の向上に励んでいます。
修美は国宝修理装潢師連盟の実施する修理技術者資格制度の資格試験に合格し、認定登録された修理技術者の集まりです。現在、技師長、主任技師、技師、技師補が在籍し、「絵画」「書跡」「歴史」の専門分野の資格を取得し、多様な文化財の保存修理に対応できる体制となっています。
また、地域でのワークショップなどを通じて社会貢献のできる人材育成に力を注いでいます。
国宝修理装潢師連盟は、国宝・重要文化財を中心とする文化財の保存修理を専門に行っている技術者集団です。
1959年3月に装潢技術の向上やその事業の実施することを目的として設立されて以来、加盟工房間で連携して、確かな技術と材料によって文化財の修理を行っています。
現在、会員工房は10工房、登録技術者数は約130名です。研究発表会・技術講習会・講演会などの実施、修理技術、材料の開発・改良・研究の奨励、修理材料の共同購入や共同備品の整備、後継者の育成、修理事業の請負・技術者の派遣、会員工房の技術者を対象とした修理技術者資格制度の運営などを行っています。
国宝修理装潢師連盟ウェブサイト修美では装潢修理技術に加えて、文化財の構造や使用された材質等を科学的な調査、分析等を専門に行う「保存科学」部門を設置しています。赤外線からエックス線などを使用した調査分析だけでなく必要に応じて、保存環境支援も行い、文化財を未来へ伝えられるよう保存科学の視点からも修理に取り組んでいます。
本紙を詳細に調査し、写真撮影等を行い、修理前の損傷状況を記録します。
写真撮影
修理前調査
修理前構造調査(※協力 奈良文化財研究所)
解体の衝撃に耐えうるように、膠着力が低下している絵具層に筆を用いて2~3%の膠水溶液を塗布含浸させ、剥落止めを行います。
クリーニング前剥落止
下貼層の安全な所(通常は浮層)から本紙を取り外します。
金物の取り外し
椽木の取り外し
解体・本紙の取り外し
吸取紙の上に本紙を載せ、濾過水を本紙上に噴霧し、吸取紙に汚れを吸収させる方法でクリーニングを行います。
濾過水によるクリーニング
汚れを吸収させた吸取紙
膠着力が低下している絵具層に筆を用いて2~3%の膠水溶液を塗布含浸させ、絵具層を強化します。
また、絵具層の剥離箇所には膠水溶液を布海苔抽出接着剤で粘度を調整したものを挿し込み、接着します。
クリーニング後剥落止
本紙のうち損傷が著しく本紙料紙が薄い状態、本紙が大型で裏打ちの除去作業に時間を要する場合にはあらかじめ本紙表面に不織布と常温布海苔抽出液を用いて表打ちを施します。
表打
その後、旧裏打紙の除去する箇所に筆を用いて、少量の水を少しずつ与えて、旧裏打紙の繊維と糊とを部分的に緩めながら除去していく乾式肌上法で全て除去します。
それ以外の本紙では、本紙全体に湿りを与えて旧肌裏紙を除去します。
旧下貼紙の除去
旧肌裏紙の除去
旧補修紙の除去に関しては、所有者および監督者と協議の上、旧補修紙を除去すると決定した箇所のみ除去します。
旧補修紙の除去
本紙料紙と同質の補修紙を製作し、本紙の欠失部分に裏面から補紙を施します。
補修
本紙の色調に合わせて染色した薄美濃紙と新糊を用いて、肌裏打ちを行います。
この時、本紙表面に濾過水を噴霧し、表打ちに用いた常温布海苔抽出液を溶解し、取り除いた後、不織布を除去します。
肌裏打
薄美濃紙と新糊を用いて、二回目の裏打ちを行い、仮張をして十分な乾燥期間を置きます。
2回目裏打
新たに補紙を施した箇所に、本紙基調色の補彩を施します。
補彩
新調した
杉白太材総枘組隅留下地の両面に楮紙と胴貼間似合紙を用いて5種8層の下貼りを施し、よく乾燥させます。
1層目:杉白太材総枘組隅留下地を新調し、楮紙を糊で貼り付けます。
下貼(骨縛)1層目
2層目:間似合紙を貼り、光や空気の通過を防ぎます。それらが通過すると酸化や劣化がより早く進行します。
下貼(胴貼)2層目
3〜5層目:楮紙を1/3ずつ重ねながら貼り付け、3層の層を作ります。
下貼(蓑掛)3〜5層目
6層目:楮紙を貼付、一度下地を平滑にします。
下貼(蓑縛)6層目
7〜8層目:小判の紙の周囲にだけ糊を付け、約1/5ずつ重ねながら貼り、小さな空気の層をたくさん作ります。
下貼(浮掛)7〜8層目
下貼りの完了した下地に本紙を貼り込みます。
また、裏面が白貼の襖貼付装には新調した鳥子紙を貼り込みます。
上貼
新調した黒溜漆塗椽を取り付け、元の引手を取り付け、襖貼付装に仕立てます。
仕上(椽打)
必要に応じて、修理後の文化財を安心して保管できるように、専門担当者が保存環境の支援を行なっています。